障害者雇用

障害者雇用

  わだちの歴史は、雇用から疎外されてきた障害者たちの就労の可能性への挑戦でした。「何十社面接しても就職先が見つからない」「職業能力開発校に入りたくても身辺自立が出来ていないと門前払い」という現実から、わだちにたどり着いた仲間たち。わだち作業所創設後20年の間に、わだちから一般就労に至ったのはほんの数名で、しかも仕事の能力よりも比較的障害の軽い者しか就職できませんでした。バブルの崩壊の頃には数名の仲間が相次いでリストラに遭ったこともあり、しかも傷付いて出戻ってきてしまうケースを目の当たりにして、「障害者の場合就職率よりも離職率の方が高い」と一般にいわれることを、身近に感じてきました。ですから、ある時期から一般就労については消極的というか、静観してきました。

  さて、障害者自立支援法の施行と、障害者雇用促進法の改正により、国の施策は「福祉から就労へ」と大きく動き始めました。わだちでも、過去3年の間に実に7人もの仲間が一般就労を果たしていきました。仕事のできる者が就労していくわけですから、わだちにとって転換点を迎えたと感じざるを得ません。

  民間企業にとって罰金を払って済ませていた時代は終わり、真剣に採用を考え始めたことを感じさせます。最近、企業からの障害者雇用の相談がとみに増えています。ハローワークに求人を出してもほしい人材が集まらない、と異口同音に聞かれます。車いすに乗った「健常者」を求める採用側と、障害者の現実との間に大きなギャップがあるのを感じます。採用側が期待する障害者は既に就職してしまっていて、これから就職しようという障害者にはそれなりの支援が必要であるということ。

  さて、わだちの今後としては、障害者の働く環境を創ってきたノウハウを生かして、障害者自身が就労環境を提案していくこと、それもより仕事上の障害の重い仲間の就労支援をコンサルタントしていくことが課題と感じています。