用語
社会福祉、障害福祉、AJU自立の家や関連団体に関する用語を中心に紹介します。
【あ】
- 愛の実行運動
- 1970年、ドイツ人宣教師であったゲマインダ神父が提唱した「人はみな兄弟」の理念のもと、カトリック教会の中から生まれた団体。人権、平和、福祉などの諸活動に取り組んでいる。
略称は頭文字を取って、「AJU」。 - 愛知県重度障害者の生活をよくする会
- 1973年、初代会長である山田昭義さん、故中村力さん(リキさん)を中心に、結成されたAJU自立の家の設立母体となった障害者団体。略称は「よくする会」。
愛の実行運動の協力のもと、「障害者のため~ではなく、障害者も共に生きる社会をつくりたい」という「誰もが住める福祉のまちづくり」を基本的な考え方とし、「1.障害者とその仲間たちの意識の変革と向上」、「2.一般市民に対する働きかけ」、「3.県市および行政関係に対する働きかけ」を運動の進め方の3本の柱として掲げ、活動をおこなっている。 - 愛知県重度障害者団体連絡協議会
- 1996年結成。愛知県下の重度障害者の生活と権利を守るため、団体相互の親睦を図りながら、社会的にも立ち遅れている障害者福祉の向上を目指し、寄与することを目的に活動する障害者団体。
略称は愛重連。 - 愛知障害フォーラム
- 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病などの障害種別や立場、考え方の違いを超えた、障害当事者や家族の団体、支援者などの関係団体が一緒になって、愛知県や県下の市町村での障害者施策の推進と、人権保障を推進することを目的に2008年8月に設立された障害者団体。
略称は「ADF」。
AJU自立の家も加盟団体になっており、事務局の一旦を担っている。
全国的組織である日本障害フォーラム(JDF)との連携のもと、愛知県・名古屋市における「障害者差別禁止条例」の制定や愛知県内の障害者施策の推進に関すること、障害者権利条約の完全実施に向けた国内法整備に関することなどに取り組んでいる。 - 愛知TRY
- 2013年5月に結成。「差別をなくそう愛知から」をキャッチフレーズに、障害者差別解消法の啓発と街のさらなるバリアフリー化を目的に、障害当事者及び支援者が一緒になって活動をしている団体。
主な活動目的は次の3点。- ステッカーを配布することで誰もが入りやすいお店を目に見える形で増やしていきたい!
- 障害のある人の差別の解消を定めた『障害者差別解消法』を一般市民の皆さまに知って貰う!
- 愛知県・名古屋市に向けて「障害者差別禁止条例」を制定しようと要望する!
- 青い芝の会
- 1957年に東京都で結成。脳性マヒ者による交流や社会に対する問題提起などを目的として組織された障害者団体。
1970年代に「我らは、自らが脳性マヒ者であることを自覚する」、「我らは、強烈な自己主張を行なう」、「我らは、愛と正義を否定する」、「我らは、健全者文明を否定する」、「我らは、問題解決の路を選ばない」という行動綱領をもとに、「障害児の親による子殺しの減刑嘆願運動」に対する反対運動や、会の活動を追ったドキュメンタリー映画「さよならCP」の上映会、路線バスでの乗車拒否に抗議する「バス闘争」など、社会に対する痛烈な問題提起をおこなった。 - 朝日新聞厚生文化事業団
- 新聞社の機能を生かし、社会福祉を組織的に推進するために、障害者、高齢者、児童をとりまく課題への対応など、社会的ニーズの高い事業や福祉啓発の活動に取り組んでいる団体。
結成当初のよくする会は、名古屋厚生文化事業団の多大な支援を受け、様々な活動を展開することができた。 - あじゅら
- 2002年に北海道でおこなわれた「DPI世界会議札幌大会」のステージで車いすユーザーがよさこいを踊っているのを観たことをきっかけに、「自分たちも踊りたい!」という思いから結成されたよさこい演舞のチーム。
現在、障害の有無、年齢、性別にこだわらず、60名ほどのメンバーが所属をし、毎年8月におこなわれる「にっぽんど真ん中まつり」での演舞を中心に活動をしている。
モットーは「楽しくなければ福祉じゃない」、『まつりを楽しむ心はみんな同じ。誰もが「生まれてきてよかった」という社会を目指します』 - アジア障害者支援プロジェクト
- 2002年、アフガニスタンの障害者に車いすを送る事業をきっかけに始まったプロジェクト。
タイを拠点に広くアジア地区へ車いすを送る活動を中心に、障害者リーダー、車いす技術者の支援、毎年名古屋で開かれる名古屋シティハンディマラソン招待されるアジア地区の障害者との交流、各地での写真展の開催などの活動に取り組んでいる。 - アテンダント
- 介助者のこと。
- アドボカシー
- 権利擁護の意味。
ちなみに某関係者が、「どんな食べ物なんだろう?」とあれこれ想像をしていたのは、ここだけの話。
【い】
- 医学モデル
- 「障害」は、個人の機能や能力によっておこるもので、「治療」や「訓練」によって「克服すべきもの」、といった考え方。
医学モデルの反語として「社会モデル」がある。 - 移動支援
- 屋外での移動に困難を抱える障害者の外出支援。ガイドヘルプとも言われる。
よく、車いすを押すだけといった限定的な支援に勘違いをされるが、外出時のトイレ介助、食事介助やコミュニケーション支援(代筆・代読等)なども含まれる。
【う】
- ウェルフェアコンサート
- 自立の家後援会が毎年、秋頃に開催するコンサート。
コンサートを通し、後援会の趣旨である”障害を持つ人も、持たない人も地域社会で心豊かな生活”を送ることができるよう、にとの啓発活動の一環でもある。
【え】
- エンパワーメント
- その人個人がもっている潜在的な生きる力を湧き出させること。
【か】
- 介助システムを考える会
- 1991年、介助制度がまったくといってなかった時代に、重度障害者が地域で生活するために必要な介助を有料または無料で受けられるシステムの実現を目指し、自立の家に関わる障害者、スタッフ、ボランティアよって結成された会。
主な活動では、全国各地の介助サービスの調査やアンケート調査、「重度障害者の日常生活と社会参加に関する調査」をおこなった。 - 家事援助
- 調理、洗濯、掃除、買い物等の家事に関る援助。
【く】
- 車いすセンター
- 1975年に設立されたよくする会の運動の中から生まれた福祉団体。
車いすの無料貸し出しを中心に、重度障害者の自立促進事業に取り組んでいる。JILの加盟団体でもあり、よくする会をはじめとする障害者団体の事務局機能も担っている。
【こ】
- 国際障害者年
- 1981年「完全参加と平等」をスローガンとして世界的な啓蒙のために国連が定めた国際年。
【さ】
- サマリアハウス
- 昭和区恵方町に位置する福祉ホームとデイセンター(生活介護)の名称。
「サマリアハウス」のネーミングは、聖書の「善きサマリア人のたとえ」に由来している。
【し】
- 自立(生活)
- どんなに重い障害があっても一人の人間として尊重され、施設や家族のもとで保護・管理された存在として生活をするのではなく、人生の主体者として、自分の生活(人生)は自分で決め、責任を持ち、必要な支援を受けながら、地域社会の中で自分らしい生活(人生)を送ること。
- 自立生活支援事業
- 1993年10月に名古屋市でスタートした介助者派遣制度。
福祉ホームサマリアハウスを退居し、地域で生活する人を中心に毎日最大7時間、介助者を派遣するというもので、養成講座を修了した「ケアスタッフ」が介助を担っていた。
2003年の支援費制度開始にともない発展的に解消。 - 自立を選んだ障害者たち
- AJU自立の家の設立母体となった「よくする会」のあゆみを中心に自立の家設立までの運動史と、そこに関わった障害当事者の自分史を中心にまとめられた書籍。
1998年愛知書房より発行。 - 支援費制度
- これまでの行政による「措置制度」とは異なり、サービス種類ごとに支援費の支給を受け、事業者との「契約」に基づいてサービスを利用する制度で、2003年に施行された。
サービスの対象者は、身体障害者(児)、知的障害者(児)で精神障害者や高次脳機能障害、難病などは対象にならなかった。
サービス利用者の急増で、制度施行直後より財源不足が言われ、介護保険との統合の検討へ繋がっていった。 - 障害者自立支援法
- 障害種別(身体・知的・精神)に関らず、共通の福祉サービスが利用できるよう一元化、障害者の就労支援、支給決定の透明化、サービス費用の原則1割負担(応益負担)と国の財政責任の明確化などを盛り込み、2006年に4月に成立した制度。
制度開始前より、応益負担が導入されると、障害が重ければ、重いほどサービスを受けるための負担が大きくなる、必要な人に必要なサービスは提供されるのか等の根強い批判と疑問の声があり、多くの障害者団体が反対運動を展開した。
その後、「憲法で定められた生存権の侵害」と違憲訴訟が全国の裁判所でおこったり、費用負担は、法施行後より問題視され、利用者の負担軽減策が図られるに至った。
自立の家でもわだちコンピュータハウスハウスがサービス利用料の不払いをおこなった。 - 障害者総合支援法
- 2012年6月に障害者自立支援法から、障害者総合支援法へと名称が変更され、法の目的と理念は変わったが、障害者自立支援法の法文や骨格は変わらなかった。
2013年4月施行。障害者の定義に難病等が追加、障害程度区分から障害支援区分へと変更された。
2014年4月からは、重度訪問介護の対象者の拡大、ケアホームのグループホームへの一元化などが実施された。 - 障害者差別解消法
- 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律。
2014年6月成立、2016年4月施行。
法では国、地方公共団体等、民間事業者による障害を理由とする差別(不当な差別的取扱いと合理的配慮の不提供)の禁止、国による差別解消のための「基本方針」の作成、行政機関等、分野ごとの「対応要領」、「対応指針」の作成などが定められている。 - 障害者権利条約
- ありとあらゆる障害者の尊厳と権利を守る21世紀初の国際人権法に基づく人権条約。
2006年12月に国連において採択、2008年5月に発効。
日本は2013年12月、障害者基本法、障害者差別解消法の制定により、国内法が条約の求める水準に達したとして、批准を承認、2014年1月20日、国連に批准が承認された。 - 社会モデル
- 「障害」は個人の問題ではなく、社会によって作られた問題とする考え方。
たとえば、車いすを利用する人が、階段しかない駅で電車に乗れないのは、個人の身体能力に着目するのではなく、エレベータが設置されていない社会の環境が電車に乗れない「障害」を作り出しているという考え方。
社会モデルの反語に「医学モデル」がある。 - 身体介護
- 入浴、トイレ、食事、着替えなど、身体に直接触れて行う介護。
- 重度訪問介護
- 重度の肢体不自由者等で常時介護を必要とする人に対し、入浴、トイレ、食事等の介護、調理、洗濯、掃除等の家事など生活全般に対する支援や外出時の移動中の介護を総合的に行うサービス。
サービス内容には見守りも含まれており、比較的、長時間介護を必要とする人が利用をしている。
略して「重訪」と言われたりする。
【せ】
- 生活塾
- 西区にある自立の家グループの自立生活センター。
JILにも加盟をしている。
【そ】
- 相馬ハウス
- 恵方温泉という元銭湯を改装して、より、ピア名古屋が中心となって活動している拠点。
建物のネーミングは、自立の家初代理事長、相馬信夫氏の苗字をお借りしている。
相馬ハウスは、2014年末、昭和区明月町に完成した新しい建物に発展的継承をされていくこととなり、障害者ヘルパーステーションマイライフとピア名古屋の福祉機器販売部門の活動拠点となる。
【た】
- 体験室
- 自立生活体験室。福祉ホームサマリアハウスの1室を利用し、施設や病院、親元や家族の中で暮らしている障害者が地域移行を目指して生活体験をする場。
これまで多くの人が体験室を利用し、自立生活・地域移行を実現してきた。
【な】
- 名古屋シティハンディマラソン
- 毎年10月に栄久屋大通公園TV塔の周りを交通規制しておこなわれるマラソン大会。
車いすを利用する人はもちろんのこと、様々な障害の方、子ども、一般男子の方が参加し、タイムを競うのではなく、障害のある人もない人も楽しくマラソン通してお互いに理解しあうことを目的としている。また、毎年、アジアから障害のある選手を招聘し、草の根レベルでの国際交流の機会にもなっている。
【ひ】
- ピアカウンセリング
- 「ピア」とは 仲間という意味。
障害のある人同士など、同じ背景を持つ人同士が、対等な立場で話しを聞き合い共感しあうこと。 - ピープルファースト
- 知的障害のある当事者が主体的に運営する障害者団体。
「私たちは知的障害者である前に、まずは人間(people first)である」という知的障害のある当事者の発言が起源。
【ふ】
- 福祉映画祭
- 1983年から20年間、車いすセンターが中心となっておこなった「映画を通して福祉を考える」社会啓発活動。
- 福祉実践教室
- 1981年の国際障害者年を機に、愛知県社会福祉協議会とよくする会が協働しておこなった事業。
愛知県内の小中高へ障害当事者が車いすをもって訪れ、自身の体験を話し、車いすに乗る体験をしてもらった。
車いす体験だけでなく、手話や点字の体験も
福祉実践教室はその後の講師派遣事業の原型にもなった。
【ほ】
- ボランティア講座
- 自立の家が法人化する以前に、広くボランティアを集めるために不定期で開催をしていた講座。
学生や社会人の方が多く集まってくれ、ボランティアに繋がっていった。
類似講座では「福祉講座」、「ボランティア入門講座」などがある。 - ボランティアを集める会
- 現在のように介助制度が整っていない頃、福祉ホームの入居者が中心となってボランティアを集めるために活動をしていた会。
ボランティア説明会やボランティアのしおりの作成などをおこなって、協力してボランティア集めに取り組んでいた。
【ゆ】
- ユニバーサルデザイン
- 障害の有無などを問わず、できるだけ多くの人が利用しやすいように施設や製品などを設計(デザイン)する手法。
【わ】
- わだち
- 漢字で書くと轍。
車が通ったあとに残る車輪の跡の意味。
よくする会の機関誌名。 - わだちまつり
- 毎年、5月の第4日曜日に開催される自立の家主催のバザー。
元々は、よくする会の活動資金を得るために開催されたのが、はじまり。
【A】
- ADA
- Americans with Disabilities Act of 1990 障害のあるアメリカ人法。アメリカ障害者法とも訳される。
1990年、世界で一番最初に成立した障害者差別禁止法で、「障害者の公民権法」とも呼ばれ、「雇用」、「公共サービス」、「公共施設での取扱い」、「電話通信」の4つを大きな柱に、差別の禁止と機会平等の保障が定められている。 - ADL
- activities of daily livingの略称。日常生活動作。
食事、排泄、着替え、洗面、歯みがき、整髪、移動、入浴などといった日常生活での動作。 - ALS
- amyotrophic lateral sclerosisの略称。
筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)
脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝える運動神経細胞(運動ニューロン)が侵されて筋肉を動かしにくくなったり、筋肉がやせていく病気。
進行性の病気で、今のところ詳しい原因は分かっておらず、難病に指定されている。
【C】
- CIL
- Center for independent living の略称。自立生活センター。
自立生活センターは、どんなに重い障害を持つ人も、地域であたりまえに自立した生活が送れる社会の実現を目指して、障害当事者が運営主体となって、自立生活、権利擁護などに関する事業・活動をおこなっている団体。 - CP
- Cerebral palsyの略称。
脳性マヒ。
【D】
- DPI
- Disabled Peoples' International の略称。障害者インターナショナル。
身体、知的、精神など、障害の種別を超えて自らの声をもって活動する障害当事者団体で、DPI日本会議は国際的なNGOであるDPIに加盟した国内組織。
ちなみに、某関係者がDPIは「ディープ飲酒会」の略と言っていたのは、ここだけの話。
【J】
- JIL
- 全国自立生活センター協議会。全国130団体ある自立生活センターの協議会。
自立の家関連では、車いすセンターと生活塾が加盟団体となっている。
【I】
- ILP
- 自立生活プログラム。Independent Living Programの略称。
障害のある人が自立生活を送るために必要な対人関係のつくり方、介助者との接し方、住宅、健康管理、金銭管理、調理、危機管理、社会資源の使い方などの生活技能を学び、障害のある人自身が力をつけていくプログラム。