「わだち」とは

「わだち」とは

わだちコンピュータハウスとは

 わだちコンピュータハウスは、四肢まひを中心とした重度の障害者が、コンピュータを使って働く場(障害者就労支援施設)です。36人の障害を持つ仲間(所員)が働いています。

 創業当時の80年代、授産施設や作業所の仕事内容は、主に手作業による反復作業が中心で、平均工賃は数千から1万円という実情でした。「1日働いても数百円では働きがいがない」「労働を通して経済的に自立したい」という仲間の思いが結束し、残された機能を生かした手作業以外の手段が模索され、社会的ニーズの高まっていたコンピュータ作業に取り組むことを選択しました。

 会計士を招いての簿記講座やコンピュータ講座が重ねられ、84年に無認可の「わだち作業所」を開設し、90年度からは身体障害者通所授産施設「わだちコンピュータハウス」(以下、わだち)としてスタートしました。07年度からは障害者自立支援法の新体系事業である、就労移行支援*、就労継続支援(A、B型)、生活介護の多機能型事業所に移行しました。A型の仲間とは雇用契約を結んでいます。
*:就労移行支援事業は2018年3月末で廃業。残り3事業は継続。

わだちコンピュータハウス業務内容

わだちコンピュータハウス業務内容

 現在のわだちの業務内容は、行政や一般企業からの受託によるデータ入力・加工、ホームページ制作、事務処理系システムの開発、アンケートの企画・集計・分析、行政計画のコンサルタント、テープ起こし、DM代行発送、障害者向けITサポートなど多岐にわたります。

 それぞれの障害状況や能力に併せて仕事を組み立てますが、所員が主体的に関わることをモットーに、重要な決定を所員自身が行っているのが特徴です。顧客との打ち合わせや仕様の決定、納品に関わることはもちろん、時には職員よりも障害を持つ所員の方が業務に精通していることもあります。また、速さや正確さを要求される入力や編集作業は、健常者のアルバイト・パートに依頼することにより、所員は工程管理や納品前のチェックや加工で力を発揮します。納品前や客先での打ち合わせや現地調査が立て込んでくると、資料整理や準備のため仕事は深夜や休日に及ぶこともあります。役所の監査では毎年のように職員の就業時間を短くするよう指導を受けましたが、「職員のためにある施設ではない」と闘い続けました。

 所員・職員一丸となった努力の結果、96年度からは売上高は1億円を超え、所員の平均工賃は月10万円を超えるようになりました。

売上高と工賃の推移グラフ